盆栽は、様々な種類の樹木を鉢に植え、美しい景観を作り出す芸術です。これから盆栽を趣味にしてみようかなという初心者にとって、盆栽の樹種分類を理解することはとても重要です。なにせ、樹種によって育て方や管理の仕方がかなり異なってきますし、特に盆栽で席飾りをする際は、様々な樹種を飾ることで良い風景を作り出すことができるため、早いうちに様々な樹種に触れたほうが良いと筆者は思います。
そのため本記事では、樹種の分類と代表的な樹種を紹介していきます。
松柏類の分類
松柏類は、盆栽の中でも特に人気のある樹種です。渇きに強く、初心者にお勧めの樹種も多いです。基本的に直射日光をガンガンに当てて育てていく樹種が多く、日当たりの良いところに居住している方には育てやすいと思います。冬場の管理も軒下に入れておく程度でよく、本当に管理がしやすいのが特徴です。尚、冬場も葉を落とさない為、一年を通して緑を楽しむことができます。
松柏類は、松類と真柏や檜などの柏類を総称して呼んでいます。以下では代表的な樹種を説明します。
松の種類と特徴
以下に松類の代表的な樹種になります。
- 黒松(クロマツ): 黒い幹や短い針葉が特徴で、力強い雰囲気を持つ松です。
- 五葉松(ゴヨウマツ): 五本の針葉が束になった姿が特徴で、とても優雅な雰囲気の松です。
- 赤松(アカマツ): 赤肌の幹と優雅な姿が特徴で、文人盆栽が良く似合います。
その他の種類と特徴
柏類に分類される樹種を紹介します。
- 真柏(シンパク): 生死を表現するジン・シャリを施すことの多い樹種です。
- 檜(ヒノキ): 素材として使われることが多いですが、実は盆栽にもできます。柔らかい雰囲気を表現できます。
- 杉(スギ): 日本で一番よく見る針葉樹も盆栽にできてしまいます。直幹で作るのが人気です。
以下のリンク先では松柏類の樹種別の育て方を説明しています。
雑木類の分類
雑木類は、松柏類以外の様々な樹種を指します。雑木類には、様々な木や灌木が含まれます。盆栽で言うところの葉物盆栽はこの分類になります。
雑木類は直射日光に弱く、基本的には半日陰(明るい日陰)で管理をします。寒さや乾風に弱い木が多いため、冬場はムロなどに入れてあげて、しっかりと保護してあげましょう。
雑木の種類と特徴
以下、雑木類の代表的な樹種になります。
- 楓(カエデ): 形状や葉の模様が多様で、秋には美しい紅葉を楽しむことができます。
- 紅葉(モミジ): 葉の形が特徴的で、様々な品種があります。秋に紅葉を楽しむことができる盆栽です。
- 欅(ケヤキ): 箒立ちの形状が多く、大地を掴むような根張りが魅力です。四季折々の変化が楽しめる盆栽です。
以下のリンク先では雑木類の樹種別の育て方を説明しています。
実物類の分類
実物類は、実をつける樹種の盆栽を指します。果物や実を楽しむことができる盆栽は、初心者から上級者まで幅広く人気があります。
管理方法は雑木類と殆ど同じで、半日陰で冬場の保護もしっかりと行います。雑木類と違うところは、実をつけさせるための作業が必要なところです。花の咲く季節には、綿棒で雄しべから雌しべへ花粉を移して受粉させたり、ジベレリンという結実を促す植物ホルモンを散布するなど、実に関する作業が必要となります。また、実を害虫や鳥害から守る必要もあります。意外と管理が大変な樹種です。
実物の種類と特徴
以下、実物類の代表的な樹種になります。
- 姫林檎(ヒメリンゴ): 小さな林檎の実を楽しむことができる樹種で、とてもかわいらしい盆栽が作れます。
- 紅紫檀(ベニシタン): 小さな赤い実をつける樹種で、葉っぱも小さいことからミニ盆栽として育てやすいです。
- 老爺柿(ロウヤカキ): 老爺柿の会があるほど人気があり、秋には熟れた見事な実を鑑賞することができます。
以下のリンク先では実物類の樹種別の育て方を説明しています。
花物類の分類
花物類は、美しい花を楽しむことができる盆栽を指します。花の種類や色合いによって、盆栽の表情が変わりますし、飾る際に季節感を出すことができます。実物類と違って、実の管理は必要ないですが、花を長く楽しむために花の咲いている期間中に液肥を散布したり、まず花をしっかりと咲かせるためにしっかりと肥料を与えるといった作業が必要となります。
花物の種類と特徴
以下、花物類の代表的な樹種になります。
- 桜(サクラ): 日本を代表する花であり、春の訪れを告げる樹です。富士桜など盆栽樹種としても非常に人気です。
- 香丁木(コウチョウギ): 5~6月に咲く白く小さい花が特徴で、華やかな雰囲気を持つ盆栽です。
- 長寿梅(チョウジュバイ): 春から秋まで咲き続けるボケの仲間です。赤花のものと白花のものがあります。
以下のリンク先では雑木類の樹種別の育て方を説明しています。
草物類の分類
草物類は、主に草本植物を用いた盆栽を指します。小さな草や低木の盆栽は単独で飾るのではなく、主に席飾りの添えに使用されます。
管理としては、樹の管理よりは楽で、放置しておくだけでいい草物が大体です。実際私も、形が崩れてきたら剪定するくらいで、あとは棚場に放っておいています。冬場は葉が落ちて、春になると新たに芽を出します。枯れたと思って捨てないように注意しましょう。
草物の種類と特徴
以下、草物類の代表的なものになります。
- 爪蓮華(ツメレンゲ): トゲトゲの葉が特徴で多肉植物のようです。育てやすさは抜群です。
- 雪の下(ユキノシタ): 淡い色合いで下側の花びらが長く、草物盆栽の中でも目を引く存在です。
- 十文字草(ジュウモンジソウ): 十文字のかわいらしい花を咲かせます。種類が多く、繊細な美しさが特徴です。
以下のリンク先では雑木類の樹種別の育て方を説明しています。
まとめ
以上が、盆栽の分類についての概要です。各樹種の特徴や適した育て方を知ることで、自分に合った盆栽の選択や育成ができるでしょう。尚、このページで記載した内容はあくまで各樹種の概要になりますので、各樹種ごとの育て方については各樹種のページを参考にしてください。
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